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消費税の本当の課税対象は”人件費” 給与を下げ雇用を壊す消費税

消費税の本当の正体とは?

私たちにとって一番身近な税金が消費税。しかし残念ながら消費税について正しく理解している方は少ないのが現状です。

消費税は消費者が支払い事業者が代わって納税する”預かり金”だと思われている方が大半ですが、実は事業者に対する直接税であり付加価値に課税されている税金だったのです。

わかりやすく言い換えれば消費税は事業者の粗利益(売上-仕入)に対して課税されています。もっとわかりやすく言い換えると純利益と人件費に対して課税されているのが消費税だったのです。

消費税は預かり金ではない

国税庁のサイトで公開されている「消費税のしくみ」という記事を確認してみると下記のように説明されています。

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

国税庁ホームページ「消費税のしくみ」より引用

また学校などの教育機関においても消費税は間接税であると教えています。しかしそれは大きな間違い。消費税は間接税ではなく事業者に対する直接税。消費税は預かり金ではありません。

これは裁判の確定判決(東京地方裁判所 平成元年(ワ)5194号 判決)でもはっきりしている紛れもない事実です。この裁判では「消費税はあくまでも対価の一部であり預かり金ではない」と結論づけられました。

消費税の本当のしくみ

私たちがものやサービスを購入した際にレシートが発行されます。その際に発効されたレシートには必ず「消費税○○円」と記載されています。

レシート(領収書)

しかしここに記載されている消費税額を事業者がそのまま納めているわけではありません。このことからも消費税が預かり金ではないことがわかります。

消費税は事業者の課税売上高から課税仕入高を差し引き、そこに税率をかけて納税金額を求めています。つまり消費税の計算式は下記のようになります。

消費税=(課税売上高-課税仕入高)×消費税率

消費税の課税対象

消費税は課税売上高から課税仕入高を差し引き税率をかけて納税金額を求めています。では具体的に消費税はどのような取引に対して課税されるのでしょうか。

国税庁のサイトによると消費税は日本国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡および輸入取引において課税されると規定されています。

これをまとめると下記の条件をすべて満たす取引に対して消費税が課税されることとなります。

  • 日本国内の取引であること
  • 事業者が事業として対価を得て行う取引であること

消費税を支払う企業ともらう企業

消費税は課税売上高から課税仕入高を差し引き税率をかけて計算します。また消費税は日本国内での取引に対してのみ課税されます。

そのため輸出企業など国内で仕入れて海外へ向けて販売する企業の場合は課税売上高よりも課税仕入高の方が大きくなる場合があります。そのような場合は年1.6%の利息付きで還付されます。このことから消費税は別名「輸出補助金」と呼ばれています。

このような理由から経団連に加盟している大企業は消費税率を上げることで代わりに法人税を下げるよう国に求めていると言われています。

消費税は人件費にまで課税!?恐るべき本当の姿

私たちにとって一番身近な税金である消費税ですが、多くの方が人件費にまで課税されていることを知りません。消費税は課税売上高から課税仕入高を差し引き税率をかけて求めています。これは利益+非課税仕入れに対して課税されているのと同じ。非課税仕入れの代表的な例が給与です。

実際に表を作成し架空の会社でシュミレーションしてみました。下記のような会社があるとします。

消費税の計算

この会社は売上げが1,100万円、給与と社会保険料といった人件費が690万円、仕入れなどの経費が330万円です。すると課税売上高は100万円、課税仕入高は30万円になり、納税すべき消費税は70万円です。

1,100万円の売上げから690万円の人件費、330万円の仕入れ費用を差し引き、消費税70万円を納税するとこの会社の純利益は10万円になります。

先ほど消費税は利益と非課税仕入(人件費)に対して課税されていると説明しました。実際に計算してみると純利益10万円と人件費690万円を足した700万円に消費税率10%をかけると70万円となり納税消費税金額になります。

これが消費税の本当の姿。消費税は預かり金ではなく事業者の利益と人件費に対して課税されている税金だったのです。このことから消費税が私たちの給与を下げる原因になっていると言えます。

消費税が労働環境を壊す

消費税の恐ろしさは私たちの給与を下げることだけではありません。消費税は私たちの正規雇用までもを阻害します。

下記の会社は同じ売上げ、同じ人件費の会社ですが唯一違うのが社員をひとり減らし派遣社員へ切り替えたこと。すると同じ売上高なのにもかかわらず消費税の納税金額が減り純利益が増えるのです。

派遣社員

上記の会社は先ほどの会社と同じ売上げ高ですが、社員1人を派遣社員に切り替えることで給与300万円と社会保険料45万円を給与から派遣料金にしました。派遣料金は課税仕入れに該当します。

すると同じ売上げ高なのにも関わらず消費税の納税負担が減り純利益が増えています。このように消費税は直雇用から派遣などの外注スタッフにすることで簡単に節税することができるのです。

このような消費税の特徴が不安定な派遣雇用を力強く後押しすることで私たちの雇用環境を破壊していると言える要因です。

消費税廃止へ

消費税は大きな問題を抱えている欠陥税制です。このように私たちの給与を下げ雇用を破壊することも大きな問題ですが、そのほかにも弱者に厳しい逆進性という問題やビルドインスタビライザーと呼ばれる経済の自動安定化機能がないなどさまざまな問題を抱えています。

また今年の10月からスタートしたインボイス制度によりさらに消費税の問題点が色濃くなってきています。このような悪徳税制は早急に廃止にすべきだと考えます。

そもそも税金とは国民が幸せになるためにあるのにもかかわらず、なぜコストプッシュインフレで国民が苦しむ中で物価を上げる効果を持つ消費税を上げる議論ばかりしているのでしょうか。

タックスレンジャーはこれまでご紹介させていただいてきたような多くの問題を抱える消費税は今すぐに減税すべきだと考えます。

この記事を書いた人
1999年1月30日生まれ。水瓶座。タックスレンジャーでの情報発信活動を通して希望あふれる社会を目指す。毎年2万人以上もの人が自らの意思で命を落としてしまっている今の現状を変えていきたい。

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