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<反対>一体なんのため?今年の10月からスタートする「インボイス制度」がひどい

インボイス制度凍結

タックスレンジャーは今年の10月からスタートするインボイス制度(適格請求書等保存方式)に断固反対します。インボイス制度は弱者をターゲットとした単なる消費税の増税であるからです。

インボイス制度が始まるとインボイス制度に登録した課税事業者からの仕入しか仕入税額控除を利用することができなくなり免税事業者が取引から排除される可能性が極めて高くなります。またインボイス制度に登録した場合においても消費税負担に耐えられずに廃業する事業者が出てきます。

さらに免税事業者が課税事業者になることで新たに消費税負担が生じ、その結果さらに物価が上がっていくことが予想されます。このようにインボイス制度は事業者のみならず消費者にも悪影響を与える制度だったのです。

そこでこのこの記事ではインボイス制度を中止するべき理由についてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。

インボイス制度を廃止すべき理由

免税事業者の廃業リスクが高くなる
インボイス制度が始まると今までは消費税の納税義務がなかった年間売上げ1,000万円以下の小規模事業者も消費税の納税義務が発生する可能性があり、そうでない場合も取引から排除される危険性があるなど小規模事業者の廃業リスクが極めて高くなります。
インボイス制度は消費税の増税である
インボイス制度は今まで免税だった事業者に課税する事実上の消費税増税です。またインボイス制度は今後消費税率を引き上げるための下準備であると言われています。
インボイス制度で物価が上がる
インボイス制度が始まればさらに物価が上がります。なぜなら免税事業者が消費税負担に耐えるために価格を引き上げる、もしくは課税事業者が免税事業者と取引を継続するために価格を引き上げる必要があるからです。また電気料金はインボイス制度をきっかけとして値上げすることが決まっています。

インボイス制度の前に知りたい「消費税の仕組み」

普段から当たり前のように支払っている消費税ですが、実はその仕組みについてよく知らないという方も多いですよね。しかしインボイス制度を理解する前に消費税の仕組みについて知っておく必要があります。ここでは消費税の仕組みについて解説させていただきます。

消費税は日本国内でのみ課税される

消費税は日本国内で行った取引に対して課税されています。海外で行った取引について消費税が課税されることはありません。

消費税は「課税売上高ー課税仕入高」で納税額を計算

消費税は消費者が支払った税を事業者がそのまま国へ納税している訳ではありません。消費税は事業者の課税売上高から課税仕入高を差し引き納税額を決定しています。つまり消費税は下記の計算式で求められます。

消費税=課税売上高-課税仕入高

この仕入れの際に支払った課税仕入高の部分を「仕入税額控除」と言います。消費税は課税売上高を減らすか課税仕入高を増やすことで負担を減らすことができます。

課税売上高より課税仕入高の方が多ければ消費税還付

課税売上高から課税仕入高を差し引いた結果課税仕入高の方が多い場合、差額を消費税還付金として受け取ることができます。

また海外では消費税が課税されないことから日本国内で仕入れ、海外で販売することで課税売上高を抑制することができ消費税還付を受けやすくなります。この制度を利用してトヨタなどの輸出事業者は消費税を支払うことなく逆に受け取っているのが現状です。

このような理由から消費税は別名「輸出補助金」と呼ばれています。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

インボイス制度の正式名称は適格請求書等保存方式です。これは消費税に関する新しいルールです。

今までは免税事業者からの仕入れ、課税事業者からの仕入れを問わず課税仕入高としてカウントしてもらうことができていました。しかしインボイス制度が始まるとインボイス制度に登録した課税事業者からの仕入れしか課税仕入高としてカウントしてもらうことができなくなります。

つまり消費税の課税事業者が消費税の免税事業者から仕入れた際に仕入税額控除を利用できなくなり、結果的に課税事業者の消費税負担が増えてしまいます。このことからインボイス制度が始まると免税事業者が取引から排除される危険性が極めて高くなります。

インボイス制度が始まると免税事業者の廃業リスクが高くなる

インボイス制度が始まると免税事業者の廃業リスクがかなり高くなります。インボイス制度に登録すれば消費税の金銭的負担や事務負担が新たに生じ、登録しない場合においては取引から排除されるリスクが高くなります。そのためインボイス制度は免税事業者にとって死活問題の税制改正です。

財務省は免税事業者372万社のうち約161万社がインボイス制度をきっかけとして課税事業者になり2,480億円の消費税増収を見込んでいます。試算のうえで想定したのは年間売上高550万円、粗利益150万円という小規模事業者。ただですらギリギリで生活している事業者に対し15万4千円の消費税負担を新たに負わせようとしています。

このようにインボイス制度は小規模事業者をターゲットとした消費税の増税です。夢を追いかけ努力しているアニメーター、女優・俳優、脚本家にミュージシャンなど多くの方の夢や生活を破壊してしまうのです。

インボイス制度は事実上の消費税増税

岸田首相や鈴木財務大臣はインボイス制度は増税でないと言っていますが実際に財務省はインボイス制度により2,480億円の増収を見込んでいます。また岸田首相は下記のように発言しています。

増税というのは要するに制度として税率を引き上げるとか、その制度を変えることによって増収を図るということだと思います。結果として増収になるということと増税を行うということは別であるということは申し上げなければならないと思います。

2023年6月12日衆議院 決算行政監視委員会より引用

インボイス制度は消費税の制度変更であり結果として増収になるわけではありません。つまり岸田首相は自らインボイス制度が増税であることを認めていることになります。実際にいままでは免税で良かった事業者が新たに課税事業者になるわけですからインボイス制度は消費税の増税であると言わざるを得ないのです。

また免税事業者と取引を続けると決断した心ある課税事業者の消費税負担が増えてしまうことになります。この事実からもインボイス制度は消費税の増税であると言えます。

インボイス制度の開始で物価が上がる

インボイス制度は事業者のみ関係する問題ではありません。なぜならインボイス制度の開始によりすべての物の価格が上がる可能性が極めて高いからです。また物価上昇に伴い消費税も上がっていくでしょう。

まずインボイス制度が始まることにより電気料金が値上がりします。電力会社には家庭が発電した電力を固定価格で買い取る義務がありますが一般家庭の多くは免税事業者です。そのためインボイス制度の開始に伴い一般家庭から仕入れた電力分の仕入税額控除を使うことができず、結果として電力会社の消費税負担が増えてしまいます。

政府は電力会社の消費税負担分を電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」を値上げすることで賄おうとしています。つまりインボイス制度が始まることで生じる新たな消費税負担について国民全員で負担することが計画されているのです。

電気料金が上がれば工場を動かす費用やオフィスの維持費などあらゆるコストがアップし、それに伴い物価も上がっていきます。また免税事業者も課税事業者への転換をきっかけに値上げを検討したり、課税事業者もインボイス制度未登録の事業者との取引継続のために値上げを検討したりするでしょう。

このようにインボイス制度が始まるとすべての物の価格が上がっていくのです。それに伴い税率は同じでも消費税負担もアップしていきます。

インボイス制度を中止へ!ボイコット大作戦のすすめ

今年の10月から始まることが決まっている消費税のインボイス制度ですが、まだ中止にできる可能性は十分に残されています。なぜならインボイス制度は多くの事業者が登録することを前提にしており、多くの事業者が登録しなければ制度をスタートすることができないからです。

いまどんぶり勘定事務所の神田知宜先生が主導し「インボイス制度ボイコット大作戦」が始まっています。これはインボイス制度の登録期限である2023年9月30日ギリギリまで登録せず、すでに登録してしまっている事業者に関しては登録を取り下げる運動です。

インボイス制度ボイコット大作戦が成功すれば今年の10月からスタートするインボイス制度を中止、もしくは延期にすることができます!取り下げ書の申請用紙はどんぶり勘定事務所のホームページからダウンロードすることができるため登録してしまった方は取り下げを行いましょう!

インボイス制度の取り下げ申請書はこちら

この記事を書いた人
1999年1月30日生まれ。水瓶座。タックスレンジャーでの情報発信活動を通して希望あふれる社会を目指す。毎年2万人以上もの人が自らの意思で命を落としてしまっている今の現状を変えていきたい。

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