私たちにとって一番身近な税金である消費税ですがとても誤解の多い税金です。Googleで「消費税 仕組み」と検索しても国税庁のサイトが一番上に表示されており、残念ながらその説明自体が間違えています。
では消費税の本当の仕組みとは一体どのようなものなのでしょうか。
この記事では普段私たちが”支払っていると思われている”消費税の仕組みを中学生でも分かるくらいわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。
Google検索で「消費税 仕組み」と検索すると国税庁のサイトがトップに表示されます。国税庁のサイトでは消費税をどのように説明しているのでしょうか。国税庁では消費税を下記のように説明しています。
しかしこれらの説明は本当に正しいのでしょうか。タックスレンジャーは日本の悪徳税制を正すべく、国税庁の説明が本当に正しいのか検証していきます。
結論から申し上げます。国税庁で紹介されている消費税の仕組みは真っ赤な大嘘。消費税は弱者に厳しく、強者を支える不公平な税金であり、事業者が負担する直接税。さらに二重・三重に課税されないような仕組みはありますが、それは輸出企業を応援するためのものだったのです。
消費税は消費者が事業者へ支払い、事業者が消費者に代わって納付する。いわゆる「預かり金」だと思われている方が大半だと思います。実際に国税庁のサイトでも預かり金という言葉はありませんが、消費者が負担し事業者が納税すると説明されています。
しかしこれは間違っています。
消費税は事業者に対する付加価値税。実際は事業者の売上げに対して課税されており、仕入れの際に支払った消費税を差し引き(仕入税額控除)納税金額を求めています。つまり消費納税納税金額を求める際は下記の式で求めることができます。
消費税の計算方法
(課税売上高ー課税仕入高)×消費税率
もし仮の消費税が預かり金なのであればこのような回りくどい計算は不要です。事業者はレシートに書いてある消費税額をそのまま税務署へ納めているのではなく、仕入れの際に支払った消費税を控除して納税しています。
実際に裁判の確定判決(東京地方裁判所 平成元年(ワ)5194号 判決)でもはっきりしており、消費税は預かり金ではなくあくまで対価の一部であるとの判決が出ています。このことからも消費税は消費者が負担し事業者が納税する間接税なのではなく事業者に課されている直接税であることがわかります。
消費税は課税売上高から課税仕入高を差し引き納税金額を算出しています。また消費税は日本国内での取引に対して課税される性質上海外での取引に対しては課税されません。
消費税はそのような性質上課税売上高から課税仕入高を差し引いたときに課税仕入高の方が多くなる場合があります。その場合はなんと消費税が還付されるのです。しかも年1.6%の還付加算金まで。
輸出企業は日本国内で材料を仕入れ海外へ向けて販売します。すると課税仕入高は発生しますが、課税売上高は発生しません。このことから消費税を支払うどころか逆に国から消費税をもらっているのが現状です。
このような理由から消費税は別名「輸出補助金」と呼ばれています。消費税が元々輸出企業を応援するためにフランス政府が考え出したという歴史を鑑みても消費税は輸出補助金と言わざるを得ないでしょう。
これまでに消費税の仕組みについて解説させていただきました。このような仕組みからも消費税は全く公平な税金ではないことがわかります。公平でないどころか不公平すぎる税金が消費税だったのです。
消費税は逆進性という問題を抱えています。たとえば年収150万円の方と年収2,000万円の方がいます。人間生きていくために必要な最低限のお金はそう変わりません。そこで最低生活費が年間130万円だと仮定します。すると年収150万円の方にとっては8.66%の消費税負担ですが年収2,000万円の方からすればたった0.66%の負担でしかありません。
このように説明すると年収が高い人ほど消費が増えるのだから消費税は公平な税金ではないかと反論される方がいらっしゃいますが、経済学的に量的・質的に多い消費は効用が高いことになり、こういった負担率を求める際は同じ消費水準で計算する必要があります。
また消費税が弱者に厳しいというのは個人に限った話ではありません。法人においても同じことが言えるのです。
元請けと下請けの関係性を考えたときに圧倒的に元請けの方が有利。下請けが消費税分を価格に転嫁したくても転嫁することができませんが、力の強い元請けや大企業は容易に消費税負担を価格転嫁することができます。
このことから力の弱い企業は消費税を価格転嫁することができず自己負担することになり、価格転嫁できる力の強い企業は自社で消費税負担をかぶることがありません。このことから消費税は消費者・事業者ともに弱いものいじめの不公平税制であると言えます。
消費税は課税売上高から課税仕入高を差し引き納税金額を求めています。しかし実際には事業者の利益と人件費に対して課税されているとんでもない悪税だったのです。
消費税が利益と人件費に対して課税されており私たちの給与を引き下げていることを証明するために仮想の会社でシミュレーションしてみました。下記の表をご覧ください。
この会社の場合課税売上高が1,100万円のため消費税の納税金額は100万円です。しかし課税仕入れとして330万円支払っているため30万円の仕入税額控除を利用することでき、実際の消費税納税金額は70万円となります。
売上高が1,100万円、給料600万円と社会保険料90万円を合わせた人件費が690万円、仕入れの経費が330万円、消費税の納税金額が70万円のため純利益は10万円となります。
実際に計算してみましょう。消費税は純利益と人件費に対して課税されます。この会社の場合は純利益が10万円であり人件費が690万円。合計すると700万円です。そこに消費税率10%をかけると納税金額である70万円という数字を求めることができます。
このように消費税は純利益と人件費に対して課税されているとても恐ろしい税金です。消費税が私たちの給料を引き下げている原因になっているのではないでしょうか。
消費税は私たちの給料を引き下げているだけではありません。なんと私たちの雇用環境すらも破壊しているとんでもないほど悪徳税制だったのです。これは消費税が景気を冷ますからという理由ではありません。消費税は雇用環境を破壊する事業者に直接的にメリットを与える最悪な制度でした。
こちらもわかりやすいよう表を作成しました。上記の表でご紹介した会社が正社員を派遣社員へ切り替えた場合を想定しています。下記の表をご覧ください。
この会社も前の会社と同じく課税売上高は1,100万円です。しかしなぜか純利益が大きく増えています。唯一違うのが正社員を派遣社員に切り替えたこと。前の会社では正社員を2人雇っていましたが、この会社では正社員ひとりと派遣社員ひとりで回しています。
そのため給料の半分と社会保険料の半分を派遣料金として経費に追加。すると同じ売上高なのにもかかわらず消費税負担は減り純利益が大きく増えていることがわかります。
このように消費税は不安定な派遣を促進することで雇用を破壊しています。給与を下げ雇用を破壊する消費税は本当に日本に必要な税金なのでしょうか。
この記事では消費税の本当の仕組みをご紹介させていただきました。このように消費税は弱者に厳しく強者を助け、私たちの雇用を壊している最悪な税金です。
国税庁の言う「消費税は広く公平に課税される税金」などと言うのは真っ赤な大嘘。消費税は弱者に対して厳しく、格差を広げる諸悪の根源と言っても過言ではないでしょう。このような悪徳税制は廃止にすべきです。
残念ながらいまの日本は投票率がとても低いのが現状。ぜひ次の選挙では国民そろって選挙へ行き、このような悪徳税制を変えていってくれる政治家へ清き一票を投じましょう。